岸から黒鯛(クロダイ)を狙うヘチ釣り。ベテラン釣り師が多く、難しいイメージを持っている人も多いでしょう。ヘチ釣りをしたことがない人は、なぜ投げ釣りでもないのに足元で大型魚が釣れるのか不思議でに思うことも多いはず。そこで今回はヘチ釣りの解説やクロダイを釣るためのコツを解説していきます。ヘチ釣りに興味を持った人はぜひ本記事を参考に試してみてください。
ヘチ釣り(落とし込み釣り)とは?
ヘチ釣りとは岸壁や防波堤から大型魚を簡単に狙える釣りのこと。ヘチというのは縁(フチ)のことで、堤防のフチでる足元沿いを狙っていく釣り方です。そのため、落とし込み釣りとも言われるヘチ釣りは、中層ねらいのタナ釣りと底の周りをねらう底釣りがあり、両方を使い分けて魚を釣り上げます。
ルアーフィッシングのように竿をたくさん動かす必要もなく、ラインを必要な長さだけをリールから出したら場所を固定して、岸壁にそって上下させるだけのミャク釣りの一種です。キャストする必要もなく、道具や釣り方がとてもシンプルなので、クロダイのような大物とダイレクトな戦いが楽しめる釣り方。意外な大物が釣れるエキサイティングな釣りなので、ヘチ釣りファンは多いです。
ヘチ釣りのメリットは?
ヘチ釣りはとてもコストパフォーマンスがいい釣り方で、エギング・ジギングのようにルアーなどの費用がかかりません。少し手間と時間がかかりますが、エサを現地で調達できるのもメリットです。イガイという貝はチヌかキビレしかほぼ食べてこないので、いわゆる外道にエサを持っていかれる心配も少なくなります。そして一番のメリットであり楽しさは、他のどの釣り方よりも至近距離で戦えること。ヘチ釣りは基本的に足元で釣るので、魚を弱らせながら釣るわけではなく、食いついた瞬間から全力のやり取りが楽しめます。ヘチ釣りに転向している釣り人のほとんどは、この引きが病みつきだというほどです。
ヘチ釣りの仕掛けは?
ヘチ釣りのタックル構成は非常にシンプルで、ヘチ用の竿・ヘチ用のリール・ガン玉・ハリス・針です。竿の長さも他の釣りと比べて短く、2.1メートルから2.7メートルの竿が一般的。道糸が蛍光ナイロン2号ほどでハリスが2〜3号。ガン玉(B〜5B)と針をつけて完成です。
3.2メートルから4.5メートルほどのロッドを使い、目印を用いるタックル・仕掛け構成もありますが、まずはシンプルな仕掛けからはじめることをオススメします。ラインにも落とし込みようの目印糸を使用するので、タナ釣りと底釣りで使い分けることになります。基本的な仕掛けは変わりませんが、行きつけの釣り場や狙う層で多少の違いがでます。
ヘチ釣りの餌は?
クロダイメインで釣る場合のヘチ釣りの餌はイガイです。クロダイはイガイを好んで食べるので、イガイが居ついている堤防には間違いなくチヌがいると言われています。イガイはカラス貝とも呼ばれていますが、基本的にクロダイを釣るときはイガイを目印にするので、餌が現地調達できてお得。
春・秋はイガイがいないので、カニやフジツボをエサにする場合もあります。またイソメ類を購入しても対応可能です。ただし、現地で調達できる餌が、魚は食べ慣れているのでできるだけ現地調達を心がけましょう。生きたカニを捕まえられた時は大チャンスです。ぜひ活きが良いうちに試してみてください。
ヘチ釣りの竿・リールの特徴は?
ヘチ竿は2.1メートルから2.7メートルの和竿やカーボン竿が一般的。竿よりもリールが特徴的で、タイコリールと呼ばれる巻き癖のつきにくい物を使用します。
スピニングリールのように複雑なギアがないのでとても軽く作られていて、穴あけ加工がしてあるので見た目もスマートです。ドラグがついている物とついていない物がありますが、ドラグがないとバックラッシュが起きてしまうので注意が必要。ベイトリールを使ったことがある人はすぐに馴染みますが、スピニングリールしか使ったことがない場合は慣れるまで苦戦するかもしれません。竿もリールも軽量化されているので、他の釣りタックルと比べても軽いのが特徴です。
ヘチ釣りの釣り方は?
ヘチ釣りは十人十色と言われるほど釣り方に個性がでる方法です。ヘチ釣りにはタナ釣り・中層釣り・底釣りがあり、魚がいると予想しながら色々な深さを探っていきます。どの釣り方にも共通しているのはゆっくりと落とし込むことで、アタリがなければランアンドガンです。じっと待つ釣りとは違い、ヘチ釣りはアタリがなければすぐに2・3歩移動します。防波堤を一周しても当たりがない場合は狙う層を変えてみたり、ポイントをすぐに変えずに層だけ変えることもあるので、性格や釣り方に個性がでる釣り方と言えます。アタリがあったら一気に上げるのではなく、ゆっくりと持ち上げて合わせましょう。
ヘチ釣りで黒鯛(クロダイ)を釣り上げるためのコツは?
クロダイのヘチ釣りはクロダイの特性に合わせた方法なので、基本とコツを抑えておけば結果が出る釣りです。イガイやフジツボをエサにして防波堤を延々と歩き、防波堤ギリギリを攻めていくことが重要であり、防波堤から20センチ以内に落とし込んでください。クロダイのいる水深はイガイの張り付いている層なので、ポイントについたら状況を確認しましょう。慣れないうちは当たりを感じにくいですが、少しでも違和感を感じたら聞きあわせをしてみるといいです。
ヘチ釣りで狙うべきポイントの特徴
クロダイを釣り上げるのが目的の場合は、イガイが張り付いている箇所は入念に攻めましょう。むしろイガイが張り付いていない防波堤にクロダイがいる可能性は非常に低く、無理にねばっても良い結果に繋がりません。また防波堤以外ではテトラポットや石積み波止でもクロダイは狙えます。潮のぶつかるポイントはカニなどがはがれ落ちてくるので、クロダイが待機している可能性が高いです。テトラ際を攻める場合はカニ狙いのクロダイが多いので、釣り場に応じて餌を変えましょう。
ヘチ釣りに向いている時間帯・季節は?
ヘチ釣りのメインターゲットであるチヌは年中狙えますが、ヘチ釣りのトップシーズンは5月末から8月末までと言われています。理由はクロダイの動ける限界水温は5度で適温は13度から23度だから。ほかにはメインターゲットであるクロダイを狙いつつシーバスも狙えるためでもあります。また夜釣りが快適にできるのもトップシーズンと言われる理由です。朝夕のマヅメ時はおすすめの時間帯ですが、夜釣りでも釣果を期待できる釣法です。同時に満潮・干潮の潮止まり前後も見逃さないようにしましょう。1年で一番美味しいとされる寒チヌ狙いなら12月からがおすすめ。ただしクロダイは深場へと落ちているので狙う層を変える必要があります。5月から8月は基本を抑えながらマヅメ時を狙い、冬場は水温の高い時間帯を狙いましょう。
ヘチ釣りでクロダイを釣り上げよう!
ヘチ釣りは仕掛けがシンプルかつ簡単なのに格好いい釣具が多く、コレクター心もくすぐられるものばかり。またシンプルでありながら、クロダイという大物を狙える魅力的な釣りです。強烈な引きと大物を釣った達成感は他の釣り方では味わえない物なので、波止の王者とのスリリングなやり取りは他にない醍醐味と言えるでしょう。攻める釣りであるヘチ釣りは、慣れないうちはクロダイを釣れず、本当にクロダイがいるのかすら疑いたくなりますが、一度楽しさを味わうと抜け出せなくなるはず。堤防を足で稼ぎなら、最高の1尾を手にしてください。最後に、ヘチ釣りとは違った方法でチヌを釣り上げたいという方はこちらも参考のしてみてください。