船釣りでよく使われる釣り用語「ドテラ流し」。その語源とは?なぜドテラ流しをするのか?どんな意味があるのか?ドテラ流しでの効果的な釣り方なども含めて、解説していきます。
ドテラ流しとは?
ドテラ流しとは、風や潮の流れにあがらわず、自然に船を流しながら釣る方法です。エンジンを切ってしまい、船体の横から風を受けるようにします。船が流れていくため、真下に仕掛けを落とすバーチカルな釣りをしていても自然と仕掛けは斜めに流れていくということ。この動きを利用したジギングや、タイラバといった釣り方が有名でしょう。ではドテラ流しの釣りにはどんなメリットがあるのか。
ドテラ流しの語源は?
最近では見ることも少なくなりましたが、冬の室内着として昔はドテラと呼ばれたものがありました。いわゆる甚平のようなもので、中に綿が詰まった、簡単に羽織れる上着のことです。このドテラが風なびいているように見えることが、ドテラ流しの語源だと言われています。
ドテラ流しのメリットは?
広い範囲を探れる
船が流れていない時は当然、真下に仕掛けが落ちるので、自分の周り数mしかアピールができません。しかし、船が流れて仕掛けも斜めに入っていくことで、1投あたりのルアーによるアピールも当然、広い範囲を狙えるようになるわけです。また、仕掛けを回収してまた落としていけば、船が流されているので1投目とは違ったポイントに着底させることができます。この2つの理由から、広い範囲を狙いたい時に、ドテラ流しが選ばれます。
エンジンによる魚へのプレッシャーがない
エンジンの音や、モーターによる振動は、魚にとってみれば違和感しかありません。そして魚がいつもと違う違和感を感じたら、警戒心が強まるのも当然のこと。ドテラ流しではエンジンを完全に切ってしまうため、魚へのエンジンによるプレッシャーがありません。これも大きなメリットの1つと言っていいでしょう。また釣っているほうも、エンジン音がしないほうが、ただ浮いているだけで自然を満喫できて気持ちが良いです。
ドテラ流しの注意点
長めのラインが必要
例えば100mの水深があった場合、真下に仕掛けを落とすなら当然、出ていくラインも100mです。しかし、ドテラ流しの場合は、およそ1.5倍のラインが出ていくと思ってください。水深100mであれば、150mのラインがなければ対応できないということになります。
潮が速すぎると底を取れない
あまりにも潮が速すぎると、仕掛けが真横に流されていき、いつまで経っても着底しないという状態になってしまいます。そんな時は通常よりも重い仕掛けにしたり、鉛製よりも比重の重いタングステン製のルアーを使うなどして、底を取れる仕掛けに変えましょう。ドテラ流しをする時にはいつもより幅広い重さの仕掛けを用意しておくと良いです。タングステンジグのメリットについて詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
根掛かりリスクが高まる
着底してから斜めに仕掛けを引いてくることになるので、根掛かりリスクは高まります。単純に流れが速ければ速いほど、根掛かりリスクも比例して高まると思ってください。
ドテラ流しはどんな操船が必要?
一般的に船の操船で必要なのは潮流によって流されるベクトルと、風によって流されるベクトルに対して、スクリューの力で船の位置を決めていくというものです。ただドテラ流しの場合は、エンジンを切ってしまいます。そのため風によって流される方向と潮流の方向を読み、そこから船を操作していくのです。言葉にすると難しいですが、実際に行ってみると小型のボートなどでも再現ができます。ただやはりベテラン漁師さんと比較すると、操船の差は歴然とでてしまうでしょう。
スパンカーによるドテラ流し釣りとは?
スパンカーとは、船の船尾につける帆のようなものです。
船を風に対して立てるために必要なもので、スパンカーがなければ風に対して船が横を向いたり、逆向きになったりします。このような風による回転を抑えるために使うのがスパンカーです。風の影響を受けにくくなるため、潮の自然な流れに乗ったドテラ流しが可能になります。
シーアンカーによるドテラ流し釣りとは?
シーアンカーを使ったドテラ流し釣りもあります。パラシュート状のシーアンカーを沈めて、潮の抵抗を受けやすくすることで、船が流れていきます。潮の流れの影響を受けやすくなるので、風の抵抗は受けにくくなる特徴があります。
ドテラ流しに向いているのはバーチカルな釣り
ドテラ流しは風や潮流に任せて、船を自然に動かしていくものです。この時に向いているのが、バーチカルな釣りでしょう。バーチカルな釣りというのは縦の釣りのこと。一般的にはジギングで良く使われる釣法で、メタルジグを垂直に落として着底してから、再度しゃくって落とす釣り方です。ただドテラ流しの船に乗っていると、船が自然と風下へと移動していきますので、ジグは斜めに落ちていきます。そのため、より広範囲にわたって探っていけるということです。
ドテラ流しに向いている釣り
ではドテラ流しに向いている釣りも紹介します。代表的なものは3つです。ジギング、タイラバ、ティップランエギングになるのですが、それぞれを詳しく見ていきましょう。
ジギング
ジギングはドテラ流しでは良く行われる代表的な釣り方です。メタルジグで、大型の青物などを狙います。ドテラ流しで船が流れていくので、真下に落とすではなく、それでいてキャストするでもなく。効率的に広い範囲を探っていくことができるのが、ドテラ流しの魅力です。ジギングの詳しい釣り方についてはこちらでも解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
タイラバ
タイラバもドテラ流しで良く行われる釣りの1つです。ボトム付近にいるタイを狙った釣り方で、落として一定の速度で巻くだけのシンプルな釣り。こちらも本来であれば真下に落とす釣りですが、ドテラ流しで斜めに探っていくことができるので、効率的に攻めることが可能になります。本来なら海底から10mを探るだけだったのに、ドテラ流しをしていれば15mはチャンスがある、というようなイメージです。
ティップランエギング
ティップランエギングもドテラ流しを活かした釣りの1つです。通常のエギングは陸っぱりからキャスティングをしますが、ティップランエギングは違います。船をアンカーで固定しないまま、潮や風でながしながら海底近くにいるイカを狙っていくスタイルです。この名称がついた由来は、餌木にイカが食いついた時に、ロッドの先であるティップが、真っ直ぐに走ることから。初心者でもコツさえ掴めば簡単にイカが釣れる釣法なので、ぜひ覚えてみてください。
ドテラ流しについて解説をしました
船釣りでの基本的な釣り方の1つで、エンジンを切るために魚に警戒されにくいメリットがあります。ゆったりと自然を感じながら釣れるため、初心者にもおすすめです。